~猫様名君への道。目指せ!ハッピーライフ~
イギリス編(5)

Concealed Realities
~隠された現実~
◎ベンサムの提唱から始まったイギリスにおける動物に対する慈しみ。その後のマーティン法の施行、SPCAの設立、1835年残酷動物虐待防止法の施行、RSPCAの誕生・権限強化により、イギリスの街頭で動物に対する残酷行為を目にする機会は減りました。しかし壁により隔てられた向こう側では、長い間、時が止まっていたかのように、未だに筆舌に尽くし難い行為が当たり前のように行われていました。
皆さんは『スタンフォード監獄実験』をご存知でしょうか?
スタンフォード監獄実験とは、1971年にスタンフォード大学で行われた心理学の実験です。
その実験では、刑務所を模した設備を作成し、被験者を看守役と囚人役に分け、役割を与えられた人が自分の意志とは関係なく、その役割通りに行動してしまうことを証明する為に行われた実験のことです。
結果、看守役は看守らしく、囚人役は囚人らしく振舞うことが証明されたと心理学者ジンバルドーは主張しました。
(注 近年、刑務所長役から看守役に対しての指示があったことが指摘されています。)
この実験結果が表していることは、いとも容易く(たやすく)人は立場や環境に染まってしまう生き物だということです。
1846年、アメリカの歯科医師ウィリアム・モートンによる公開実験の結果、実用化されたエーテル麻酔。それは、実験室での生体解剖にも用いられるようになりました。
一見すると、麻酔を使用しているので動物は苦痛を感じていないのでは?と思ってしまうかもしれませんが、動物実験の場で行われていたことは、
- 麻酔の使用のみ
- 麻酔に対する知識の乏しい状態での使用
- 動物の感情の無視
- 劣悪な飼育環境への放置
でした。
そのような生体解剖の場にいる科学者や医師は、行われている行為に対して何の疑問も抱かずに、動物に対する非道な行いを行っていたと思われがちですが、そんな環境にいながらも、疑問を抱く男たちが現れます。
The arrval of Good news
~福音の訪れ~
◎エーテル麻酔の成功から時を経ずに、動物実験の場にもエーテルやクロロホルムが用いられるようになりました。
・しかし、当初は『神からの贈り物』と思われていた麻酔ですが、そこにはルシファーが施した罠ともいうべき、様々な問題が潜んでいることを医師や研究者は気付きました。
Miscalculation
~神の誤算~
◎現在では、外科手術などの際に、麻酔医が麻酔を管理しています。その事実が、麻酔の量の調節が極めて難しいことを証明しています。
麻酔とは?
◎麻酔とは、生体の機能をギリギリまで抑え込む、『コントロールされた仮死状態』を作る行為のことです。(眠らせる薬ではありません。)
| 『効く量』と『死ぬ量』の幅が狭すぎる |
| ◎薬物には、効果が出る『有効量』と、命を落とす『致死量』があります。 ・麻酔薬は、有効量と致死量の間の『安全域』が狭いです。 ・ほんの数パーセントの濃度のズレが、即座に呼吸停止や心停止へと繋がりますにゃ🙀 |
| 『個体差』による不確定要素 |
| ◎個体の体重が同じでも、 ・肝臓や腎臓の機能 ・体脂肪率 ・その日の体調 ・遺伝的な体質 によって、麻酔の効き方は全く異なります。 ・Aにとっての『適量』が、Bにとっては『致死量』になってしまう。 その為、 『事前に計算した量を入れるだけでOK』という訳にはいかないんだにゃ~🙀 |
| 『手術中』の状況は、秒単位で変化する。 |
| ◎手術中の生体は ・侵襲(メスが入った際の激しい痛み) ・出血による血圧低下 等により、激しく揺れ動きますにゃ🙀 ・麻酔医は、モニターに映る ・心拍数 ・血圧 ・瞳孔の開き ・呼吸の状態 を秒単位で監視し、常に ・麻酔ガスの濃度 ・点滴の量 をミリ単位で微調整し続けていますにゃ😺 |
・しかし、当時は麻酔への知識不足、麻酔用具の性能不足が、動物の死亡事故を引き起こしていました。
その為に、全ての実験で麻酔を使用して生体解剖を行なっていたわけではありませんでした。
・現代には精密な気化器(麻酔濃度をコントロールする機械)がありますが、当時は布やスポンジにエーテルを含ませて動物や人間の口元に当て『コントロールされた仮死状態』を作ろうとしていましたにゃ🙀
麻酔の際に起こり得た、致命的な不利益
- 吸入器のコントロールが不可能
・患者や実験動物が、どの位の量を吸ったのかが分からない。
- エーテル特有の強い刺激性
・エーテル独自の強い刺激性が気道を激しく刺激することにより、大量の唾液や気道分泌物の滲出を引き起こし、窒息の危険性を生じさせます。
- 遅効性と蓄積性
・麻酔が効くまでに時間を要する。
・麻酔の効き具合が分かりずらく、追加量によっては、一気に致死量に達してしまい、心停止を引き起こしてしまう。
Gospel To National
~国家による福音~
◎1876年、イギリスでCruelty to Animals Act 1876(訳 1876年 残酷動物虐待防止法)が制定されました。
(この法律は、世界初の『動物実験を規制する法律』です。)
・この法律の施行によって、苦痛を伴う動物実験を行う際には、必ず麻酔を使用しなければならないと、世界で初めて義務付けられました。
(19世紀の終わりには、イギリスの実験室では麻酔の使用が法律により義務付けられていたことになります。
しかし、この法律には大きな落とし穴が存在していました。
Booby Traps
~張り巡らされたトラップ~
◎1876年残酷動物虐待防止法 第3条です。
- 実験は、人間の命を救う、あるいは苦痛を軽減するための『新しい発見』に直接役立つものでなければならない。
- 実験を行う者は、内務大臣からの『免許』を持っていなければならない。
- 動物には、実験中、苦痛を感じさせないために『麻酔』をかけなければならない。
- 実験が終わった後、もし重い苦痛が続くようであれば、その動物が目覚める前に『安楽死』させなければならない。
*第1項~第4項の文言は、動物に対して苦痛を与えないように配慮している内容になっています。
しかし、法律の条文には『ただし』という例外事項が付くことがよくあります。その『ただし』という接続詞にこそ、罠が張り巡らされていたのです。
Indulgence
~特別証明書による免除~
ファストトラップ
- 麻酔を使用すると実験の目的(目的とするデータの収集)が達成できないと認める場合、麻酔なしでの実験を許可する。
セカンドトラップ
- 実験後に動物を生かして経過を観察する必要がある場合、実験後の安楽死義務を免除する。
◎生体実験の際には無麻酔での解剖、また、術後には、鎮痛剤の不投与が多発しました。
- 薬物の相互作用を恐れた
◎この実験は、特定の病原体や手術が動物の体にどのような影響を及ぼすのかを見る為に行った。
『麻酔薬や鎮痛剤を投与し続けた場合、薬剤の成分が実験データを歪めてしまう可能性があるので、生体解剖の際の麻酔薬の使用・実験後の鎮痛剤の使用は控えよう♪』と、まるで無知な子供が蝶の羽を捥ぐがごとく、ただデータの回収の為に悪気もなく実験を繰り返しました。
- 動物の痛みを『バイタルサイン(指標)』として利用
◎当時の実験者は、『手術後の動物の状態』、『動物の行動変化の過程』を『実験の観察結果(成果)』として記録する事が一般的でした。
『鎮痛剤を使用して苦痛が緩和してしまったら、苦痛の際のデータの取得ができないよね♬』と、動物の痛みを緩和することなく、観察していました。
その様子はまるで湾岸戦争の際に、映像に映るトマホークによる攻撃と、イラク軍の地対空ミサイルによる迎撃映像の様子をTVで観て、実際に命のやり取りが行われている事を知らないが如く、『TVゲームみたい!』と言って、興奮してはしゃいでいた当時の人達みたいですね。
☆つまり、動物に対して残酷な行為をしてはならないと言いつつ実際には、
- 実験者が実験に支障が出ると麻酔の使用を控える。
- 経過観察する為に、鎮痛剤の投与なく放置する。
という事が『当時の当たり前』だったのです。
Non Stop Pain
~降り続ける苦痛~
◎麻酔の適切な使用により、苦痛なく生体解剖が行われたケースももちろんありました。しかし、術前の不適切な配慮、苦痛を無視した事後処理、不適切な飼育環境も、動物の感情や感覚を無視した酷さでした。
麻酔をかけること自体の『恐怖』と『ストレス』
◎麻酔をかける際には、動物を無理やり押さえつけて麻酔を吸引させていました。
・当然動物はパニックを起こしたり、恐怖心を抱きます。しかし、当時は実験データには関係ないと、動物を落ち着かせる言動を行いませんでした。
*あなたがお仕えする猫様をこいしにゃわ養生所(動物病院)へ治療の為に連れて行ったとします。治療する為とはいえ、御典医(獣医師)が『優しく声を掛けたり撫でたりせずに、無理やり押さえつけている』のを目にした場合、あなたはどう思いますか?この御典医は、動物の気持ちを蔑ろする人なのではないだろうか?と不信感を抱きませんか?
当時の科学者や医師は、そのように動物達を扱っていました。
実験室の劣悪な飼育環境
◎動物は実験道具と同じ。そのような思考の人間が気の利いた配慮をするはずがありません。
- 狭くて汚いケージ
- 適切に水や食事を与えない
そのように、劣悪すぎる環境で動物は精神的にも、肉体的にも耐えがたい苦痛に晒され続けました。
Summary ~総括~
◎冒頭で、スタンフォード監獄実験についてお話しした通り、人間は環境に染まりやすい生き物だと思いますが、果たしてそれだけの理由で役割を演じたのでしょうか?、特に看守側には『支配したい』、『権威に対する憧れ』、『囚人役への日頃の鬱憤』、『ストレス発散』、『人間嫌い』、『特定層への嫌悪感』など、複合的な理由があったのでは?とコアにゃんは思いますにゃ😺
そこで生体実験の際に、なぜ科学者や医師は『無麻酔での生体解剖』、『術後の鎮痛剤の無投与』、『劣悪な飼育環境での飼育』、『満足に水や食事を与えない』といった扱い方ができたのかを考えてみると、一つの答えが思考の核として各々に存在していたと言えるのではないでしょうか?
『動物はただの実験道具』。
あなたが動物好きの科学者や医師なら、どうするでしょうか?
- 職場を休む
- 職場を辞める
あるいは・・・
- 正気を保つ事ができずに、発狂してしまう
そのような行動をとってしまったり、そのような状態へとなってしまうのではないでしょうか?
動物が恐怖に戦慄き(わななき)、苦悶の表情を浮かべながら絶叫を上げ、悶え苦しみ、息絶えていく。
私には、動物好きの人が耐えられる環境だとは思いません。
そこで導き出されたのが、
- 人類の生活向上の為
- 自分達は正しい行いをしている
- 些細な犠牲は仕方ない
という、『人間ファーストの免罪符により、科学者・医師の感覚が麻痺していた』、それが動物に対して残酷な行為を行った答えだとコアにゃんは思っていますにゃ😿。
しかし忘れてはいけないのが、今に生きる私達は、動物達が犠牲になってきたその世界線の上で生活させてもらっている。そのお陰で私達も、最先端の医療や長寿の恩恵を享受できているということです。そして、現在も私を含め人々は、動物実験の恩恵を受けて、安全な薬品を使用することができ、便利な生活を送れている、その事実を片時も忘れるべきではないと、コアにゃんは思いますにゃ😼。
次回 イギリス編(5)
三矢の誓い🏹🏹🏹
2人の決意
をお送りいたします。
この記事を書いた人
🐾コアにゃん
🐾1級愛玩動物飼養管理士
🐾動物福祉ライター・コラムニスト・コピーライター

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